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[M.M.S.T witter 1400]vol.43 〜釜山のとある宿のおじさんからの愛情〜

東アジア演劇キャンプでは、毎年、釜山のトタトガというアーティストレジデンス施設に宿泊していましたが、

今年は日本演出家チームは、釜山中心部から少し離れた東釜山大学駅の近くにあるモーテルに滞在しています。

(ちなみに日本から来た役者の1人は韓国の演出家のチームのため、宿は別です。)


なんでも今年の4月にオープンしたばかりのモーテルで、とても綺麗な部屋です。

そのオーナーであるおじさんがたった一人で経営と管理をしているようで、

部屋の掃除から何からおじさん一人でこなしています。

その忙しさにもかかわらず、とても気さくでいつも優しく接してくれます。

私たちの部屋は1階で、おじさんのいる事務所と隣り合わせて何かと便利もよく、

このモーテルのおじさんの優しさがありがたいなぁと思ったのですが、

数日過ごす中で、これは優しいどころかもはや愛以外の何ものでもないのではないか、と思い

このおじさんの愛情を記録に残しておくことにしました。


まず、初日、荷ほどきも間も無くおじさんから熱々のニラチヂミの差し入れがありました。

おじさんの手作りだそうで、とても美味しくいただきました。

おじさんは、日本語は全く通じません。韓国語でこちらが理解しているかどうかなんて問題なく喋り続けます。

拙い韓国語で「マッシッソヨ」と伝えると、おじさんはとても嬉しそうでした。


その翌日・・夕方所用を終えて宿に戻ると、おじさんが待ちかまえたようにニコニコしています。

今度はカボチャチヂミを焼いて部屋に持ってきてくれました。初めて食べた黄色が鮮やかなカボチャチヂミ。

ほんのり甘くておやつのようなチヂミでした。マシッソヨ、カムサハムニダ。


さらにその翌日・・・おじさんに強引に事務所に呼び出されて行ってみると事務所のキッチンに大鍋が火にかけてあり、

中には鶏が丸ごとグツグツ煮込まれていました。

どうやら、今日の晩御飯はこれを食べるんだ〜と言っているようです。

(が、正確には何言ってるか分からなかったため、笑顔で曖昧にネ〜とか言ってその場をやり過ごしました。)

一旦部屋に帰されましたが、ほどなくして再び呼び出され、事務所に行くとすで小さなテーブルにお皿が配膳されていました。

演出の百瀬も呼んで3人で、その大鍋に入った鶏とお粥をいただきました。(おそらくサムゲタン的な料理です。)

一人一羽。

お粥も茶碗がからになると有無を言わさず取り上げられておかわりを入れてくれます。

とてもとても美味しかったのですが、3杯目あたりからもはや罰ゲームに近い状態に。

しかし、言葉が通じないためにおじさんはニコニコして強引に鍋をよそってくれます。

ジェスチャーでなんとかお腹いっぱいを表現しましたが、最後に一人1杯ずつ食べるぞというジェスチャーで返され、

とにかく、最後までたくさん食べました。

食べ終わるやいなやインスタントコーヒーをこれまた強く勧められて。

いただきました。

とにかく、お腹いっぱいでした。


その後、おじさんのもてなし料理が落ちついたかなという頃、日本チームの参加俳優との合流の日、再び鶏鍋が登場するのでした。

おじさんはとにかく、滞在中は家族のように仲良くしよう、と言ってくださっているそうです。(通訳スタッフ談)

おじさんの愛情の話はご飯だけではないのですが、それはまた後日に記録しようと思います。

写真はおじさんの自慢の鶏粥(多分、サムゲタン。)

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— posted by mmst at 09:51 am  

[M.M.S.T witter 1400]vol.42 〜釜山の日々〜

東アジア演劇キャンプin釜山 も折り返し地点に来ました。

日本チームの身体トレーニングも進み、肉体的な共通言語も少しずつ積み重なっています。

今回日々の練習をおこなっている立派な文化施設、キャンパスDというホールは、宿から電車と徒歩で30分ほど。

そろそろ通う道のりも慣れてきました。

実はキャンパスDの最寄り駅から近くまでのバスも出ており、

ワークショップの初日頃に現地スタッフの方にバスに一緒に乗って教えていただいたのですが、、

なんせ韓国語が読めない、聞き取れない、という状況の上、地下鉄なんかよりも位置を確認する余裕が持てないため、

停車ボタンの押すタイミングがわからない・・・

結局まだ一人で韓国のバスに乗る勇気が持てず、毎日駅から15分ほど歩いて通っています。


東アジア演劇キャンプの釜山の現地スタッフの方々は優しい方ばかりで、

色々と気を使ってくださり、ほとんど不自由なく進行することができています。


台湾チームや韓国チームとは施設は同じでも練習室も時間帯も違うので、どのように進行しているのかは今の所わかりません。

5月16日にスケッチステージと言って、最終日の公演で上演する作品の途中経過を見せ合うプログラムがあります。

その際に他のチームの進行や作品の一端を見ることができると思います。


日本チームの俳優たちも日々ハードなトレーニングはおこなわれているものの、

全員毎回真摯に、真剣に取り組んでくれています。

公演本番に向けて、稽古もこれからますます進んでいきます。


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通訳のサンミさんが稽古は日々ついてくれているので言葉もほとんど不自由ありませんが、釜山の俳優も日本語を少しずつ覚えてくれており、休憩時間などは日本語と韓国語が飛び交っています。


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釜山の俳優のナメヌ君が、スンデとトッポギを差し入れに持って来てくれました。稽古の前の腹ごしらえに。

スンデ、見た目はややグロテスクですがとても美味しかったです。

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昨日は演劇キャンプの事務局側の計らいで韓国のマダン劇(仮面を使用した伝統的な芝居)を観劇しました。

何もわからないまま観劇したのですが、偶然にも昨年の演劇キャンプの日本チームに参加していた若い俳優が出演していました。

終演後に再会し、元気に活躍している姿に元気付けられました。

— posted by mmst at 02:14 pm  

[M.M.S.T witter 1400]vol.40 〜M.S.Pについて。〜

M.M.S.Tでは毎年8月盛夏の時期に、舞台創作ワークショップを開催しています。

この夏の時期に開催している舞台創作ワークショップのことを、通称「M.S.P」としています。

「M.S.P」は、M.M.S.T SUMMER PROGRAM の略。

このワークショップも気がつけば昨年10周年を迎え、今年11年目になります。


「M.S.P」は、奈良県吉野郡天川村にある築150年の古民家を改装したアトリエ施設に約1週間滞在し、

外部からお招きした講師とともに、1週間のうちに1つの作品を創作、最終日に実際にお客さんの前で上演までおこなう、

というなかなかハードな企画です。

アトリエのある地区は、天川村の中でも西部の山間部にあり、

そのあまりの山っぷりと、人里離れっぷりに、

「田舎好きだからどんなに田舎でも全然平気!」と豪語する人さえ幾度となくホームシックにさせてきました。


最寄りのコンビニまで、車で1時間。

天川村中心部にある商店(ちょっとした雑貨や食べ物を売っている)でも車で30分弱。

ブログでも何度か書いていますが、アトリエ滞在中はお財布を開くことがほぼなくなるため、

1週間の滞在を経て下山する時には、自販機を見るだけでちょっとした感動さえ覚えてしまうほどです。

自然と口にしてしまう「下界」という言葉。

今でこそ携帯の電波が入りますが、数年前まで当然と言わんばかりの圏外でした。

現在でも、auは入らないので、auキャリアの方がワークショップに参加すると約1週間消息が途絶えてしまうわけです。

*auの方にはぜひとも入村前にその旨をご家族や周囲の方々にお伝えいただいてほしい思います。


話が少しそれたようですが、このM.S.Pの醍醐味は、こうした環境の中での創作です。

台詞の練習のために大声を出して外を歩こうが、怒られることも怪しまれることもありません。

存分に稽古に没頭できます。

疲れたら、アトリエの目の前の山々を眺めたり、夜は満天の星空や流れ星に癒されたりします。

そんな大自然の中で、創作にチャレンジしてみたいという方のチャレンジ第一歩のお申し込みをお待ちしています。


今年は、東京を中心に全国各地、海外でもご活躍中の劇団印象の鈴木アツトさんを講師にお迎えします。

創作する作品は、作家、谷崎潤一郎の作品から構成します。

最終日の上演会場となるのは、大阪中心部にある劇場、in→dependenttheatre1st。


未経験者も大歓迎です。そのチャレンジ精神こそ、M.S.P参加者にふさわしいと言ってもいいほどです。

お待ちしています。


— posted by mmst at 12:22 am  

[M.M.S.T witter 1400]vol.39 〜天川村で友人ができた話 2〜

天川村滞在中、思わぬ出会いで86歳Eさんという友人ができた話の続きです。


再び、天川村に滞在することになったK。

M.M.S.Tのアトリエに車で向かう途中、Eさんと出会った道を通りかかったところ、

感動もないほどあっさりEさんと遭遇。

Eさん:「あら〜!お久しぶり。今日来たの?」

と相変わらずお元気そうでした。

Eさんはかつて芸妓をやっていたこともあり、舞台には興味津々です。

芝居の稽古を見せて欲しいということで、後日アトリエに来ていただく約束をし、その日はお別れしました。



のはずだったのですが・・・

その日の夕方、Eさんからの着信。

Eさん:「私、Eです。Kさん、今日一人なんでしょ?お夕飯どうされるの?」

K:「一人なので簡単に済まそうかなと思ってるんですけど、」

Eさん:(間髪入れず)「うち来ない?」

K:「え??」

Eさん:「一緒に食べよー!ご馳走はないけど、Kさんの分も準備するから。私、一人で食べるの寂しくて嫌なのよ。」

K:「いいんですか?こちらこそ何も持っていけるものが今ないんですが、、」

Eさん:「何もいらないから、そのままおいで。でも、ご馳走はないからね。」


電話を切るまで何度も「ご馳走はないからね」と念押しされましたが、

そんな贅沢な願いはありません。というより、出会って2回目にご自宅に招かれるとは・・

そして、「一緒に食べよー!」が学生時代のお昼のお弁当タイムさながらで心温まります・・

お言葉に甘え、ありがたくご相伴に預かることにし、Eさんのご自宅を訪問しました。

ご馳走はないとおっしゃいましたが、サラダや煮物やお寿司やら

ご馳走以外の何ものでもありませんでした。

美味しいご飯をいただきながら、デザートに果物やアイスまでいただきながら、

Eさんの長崎での思い出話や大阪に行くことになった話、芸妓修行の話、嫁入りの話などなど

盛りだくさんで、あっという間に夜は更けてしまいました。


真っ暗になった天川村、玄関外まで見送ってくださったEさん。

出発しようとした車の窓越しに

Eさん:「気をつけてね。最近その辺でクマ出たらしいから。車にもぶつかってくるらしいから。」

・・・さすが、天川村の夜です。


ちなみに、お土産までくださいました。

Eさんが健康のために毎日飲んでいるという、

ミドリムシドリンク。

・・・86歳、元気の秘訣は、ミドリムシ。

— posted by mmst at 07:12 am  

[M.M.S.T witter 1400]vol.38 〜天川村で友人ができた話〜

M.M.S.Tメンバーは、通常、福岡を中心に活動していますが、

創作であったり、ワークショップであったり、という時には天川村アトリエに滞在します。

昨年の夏のワークショップで滞在していた時のことです。

スタッフ(以下、K)が、客人をアトリエ近くの(と言っても車で20分弱、徒歩1時間ほどかかります・・)バス停まで

お見送り行き、バスを待っていると、路肩に駐車したM.M.S.Tカーをおばあさんがじっと眺めているのが見えました。

おばあさんは、こちらに気づいて訝しげな顔をしながらKに近づいてきます。

路肩に車を停めていたのが迷惑だったかなと反省しつつ、近づいて来るおばあさんに会釈。

(天川村では特に夏の時期、マナーの悪い観光客もいて地元の方が迷惑をしているという話はよく耳にする。)


おばあさん:「あなた、福岡?」

K:「あ、、はい、、そうです。車、すみません、、」

おばあさん:「わたし、長崎やねん!」(唐突)

K:「え?そうなんですか?(でも関西弁?)」

おばあさん:「いや〜、福岡から来たの?嬉しいわ〜。私すぐそこに住んでんねんけど(略)・・・」


要約すると、そのおばあさんは、Eさん(現代風な可愛いお名前)86歳。(には見えない肌艶と背筋の伸び。あと、声も大きくて元気。)

バス停そばに住んでいらっしゃって、出身は長崎。10代の頃に出稼ぎで大阪に出て芸妓をし、

そのお客さんであった旦那様に見初められて、天川村のお隣、十津川村(温泉地で有名です。)に嫁いで60年以上。

旦那様は随分前に他界されたということで今は一人暮らし。

幼い頃に過ごした九州のことが忘れられず、たまに九州ナンバーの車を見かけては話しかけているらしいのです。


客人を見送った後も、しばらく立ち話をしました。

おばあさん(以下、Eさん):「あ〜嬉しいな〜!九州の人とお友だちになれるなんて。あ、文通しよ!」

ということで、お友だちになりました。


Eさんの住所を手帳に書いてもらい、Kは名刺をお渡しして、また会いましょうとその日はお別れしました。

その後、なかなかお会いする機会がとれず、Kは福岡に戻ってしまいました。


福岡に戻って、早速お手紙を書き、投函。

それから数日後の夕方・・・

見知らぬ携帯番号からの着信。なんと、Eさんからでした。

Eさん:「あ、Kさん?私、十津川のEです。お元気してます?夕食の時間帯にごめんなさいね、少しお話できるかしら?」

用件は、手紙を受け取ったこと、嬉しくてお礼のために名刺の電話番号に電話をかけてくださった、ということでした。

Eさんの気遣いと気さくさと、元気さ、頭が下がります。

電話をいただいた翌月にはKは公演準備で天川村に再び行く予定だったので、そのことをお話し、

またお会いする約束をしました。

人付き合いが薄くなってきた現代に、こういう形で祖母と孫ほど年の離れた友人ができるとは思いませんでした。

— posted by mmst at 06:27 pm  

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