東アジア演劇キャンプでは、毎年、釜山のトタトガというアーティストレジデンス施設に宿泊していましたが、
今年は日本演出家チームは、釜山中心部から少し離れた東釜山大学駅の近くにあるモーテルに滞在しています。
(ちなみに日本から来た役者の1人は韓国の演出家のチームのため、宿は別です。)
なんでも今年の4月にオープンしたばかりのモーテルで、とても綺麗な部屋です。
そのオーナーであるおじさんがたった一人で経営と管理をしているようで、
部屋の掃除から何からおじさん一人でこなしています。
その忙しさにもかかわらず、とても気さくでいつも優しく接してくれます。
私たちの部屋は1階で、おじさんのいる事務所と隣り合わせて何かと便利もよく、
このモーテルのおじさんの優しさがありがたいなぁと思ったのですが、
数日過ごす中で、これは優しいどころかもはや愛以外の何ものでもないのではないか、と思い
このおじさんの愛情を記録に残しておくことにしました。
まず、初日、荷ほどきも間も無くおじさんから熱々のニラチヂミの差し入れがありました。
おじさんの手作りだそうで、とても美味しくいただきました。
おじさんは、日本語は全く通じません。韓国語でこちらが理解しているかどうかなんて問題なく喋り続けます。
拙い韓国語で「マッシッソヨ」と伝えると、おじさんはとても嬉しそうでした。
その翌日・・夕方所用を終えて宿に戻ると、おじさんが待ちかまえたようにニコニコしています。
今度はカボチャチヂミを焼いて部屋に持ってきてくれました。初めて食べた黄色が鮮やかなカボチャチヂミ。
ほんのり甘くておやつのようなチヂミでした。マシッソヨ、カムサハムニダ。
さらにその翌日・・・おじさんに強引に事務所に呼び出されて行ってみると事務所のキッチンに大鍋が火にかけてあり、
中には鶏が丸ごとグツグツ煮込まれていました。
どうやら、今日の晩御飯はこれを食べるんだ〜と言っているようです。
(が、正確には何言ってるか分からなかったため、笑顔で曖昧にネ〜とか言ってその場をやり過ごしました。)
一旦部屋に帰されましたが、ほどなくして再び呼び出され、事務所に行くとすで小さなテーブルにお皿が配膳されていました。
演出の百瀬も呼んで3人で、その大鍋に入った鶏とお粥をいただきました。(おそらくサムゲタン的な料理です。)
一人一羽。
お粥も茶碗がからになると有無を言わさず取り上げられておかわりを入れてくれます。
とてもとても美味しかったのですが、3杯目あたりからもはや罰ゲームに近い状態に。
しかし、言葉が通じないためにおじさんはニコニコして強引に鍋をよそってくれます。
ジェスチャーでなんとかお腹いっぱいを表現しましたが、最後に一人1杯ずつ食べるぞというジェスチャーで返され、
とにかく、最後までたくさん食べました。
食べ終わるやいなやインスタントコーヒーをこれまた強く勧められて。
いただきました。
とにかく、お腹いっぱいでした。
その後、おじさんのもてなし料理が落ちついたかなという頃、日本チームの参加俳優との合流の日、再び鶏鍋が登場するのでした。
おじさんはとにかく、滞在中は家族のように仲良くしよう、と言ってくださっているそうです。(通訳スタッフ談)
おじさんの愛情の話はご飯だけではないのですが、それはまた後日に記録しようと思います。
写真はおじさんの自慢の鶏粥(多分、サムゲタン。)