M.M.S.Tメンバーは、通常、福岡を中心に活動していますが、
創作であったり、ワークショップであったり、という時には天川村アトリエに滞在します。
昨年の夏のワークショップで滞在していた時のことです。
スタッフ(以下、K)が、客人をアトリエ近くの(と言っても車で20分弱、徒歩1時間ほどかかります・・)バス停まで
お見送り行き、バスを待っていると、路肩に駐車したM.M.S.Tカーをおばあさんがじっと眺めているのが見えました。
おばあさんは、こちらに気づいて訝しげな顔をしながらKに近づいてきます。
路肩に車を停めていたのが迷惑だったかなと反省しつつ、近づいて来るおばあさんに会釈。
(天川村では特に夏の時期、マナーの悪い観光客もいて地元の方が迷惑をしているという話はよく耳にする。)
おばあさん:「あなた、福岡?」
K:「あ、、はい、、そうです。車、すみません、、」
おばあさん:「わたし、長崎やねん!」(唐突)
K:「え?そうなんですか?(でも関西弁?)」
おばあさん:「いや〜、福岡から来たの?嬉しいわ〜。私すぐそこに住んでんねんけど(略)・・・」
要約すると、そのおばあさんは、Eさん(現代風な可愛いお名前)86歳。(には見えない肌艶と背筋の伸び。あと、声も大きくて元気。)
バス停そばに住んでいらっしゃって、出身は長崎。10代の頃に出稼ぎで大阪に出て芸妓をし、
そのお客さんであった旦那様に見初められて、天川村のお隣、十津川村(温泉地で有名です。)に嫁いで60年以上。
旦那様は随分前に他界されたということで今は一人暮らし。
幼い頃に過ごした九州のことが忘れられず、たまに九州ナンバーの車を見かけては話しかけているらしいのです。
客人を見送った後も、しばらく立ち話をしました。
おばあさん(以下、Eさん):「あ〜嬉しいな〜!九州の人とお友だちになれるなんて。あ、文通しよ!」
ということで、お友だちになりました。
Eさんの住所を手帳に書いてもらい、Kは名刺をお渡しして、また会いましょうとその日はお別れしました。
その後、なかなかお会いする機会がとれず、Kは福岡に戻ってしまいました。
福岡に戻って、早速お手紙を書き、投函。
それから数日後の夕方・・・
見知らぬ携帯番号からの着信。なんと、Eさんからでした。
Eさん:「あ、Kさん?私、十津川のEです。お元気してます?夕食の時間帯にごめんなさいね、少しお話できるかしら?」
用件は、手紙を受け取ったこと、嬉しくてお礼のために名刺の電話番号に電話をかけてくださった、ということでした。
Eさんの気遣いと気さくさと、元気さ、頭が下がります。
電話をいただいた翌月にはKは公演準備で天川村に再び行く予定だったので、そのことをお話し、
またお会いする約束をしました。
人付き合いが薄くなってきた現代に、こういう形で祖母と孫ほど年の離れた友人ができるとは思いませんでした。