Othello Project
MMST オセロ上演プロジェクト
シンポジウムシリーズ1
2024年8月25日(日)
於 福岡女学院大学
シンポジウムシリーズ1
2024年8月25日(日)
於 福岡女学院大学
『MMST Othello Project』 Schedule
<2024>
AUG [Synposium] Fukuoka,JP
NOV [2.0] Busan,KR
<2025>
APR [2.0] Taipei,TW
APR [3.0] Taipei,TW
「オセロ」は東アジア演劇のポテンシャルを再発見し、それを世界に向けて発信することを目的とした上演プロジェクトです。日本の演出家と韓国の俳優、日本と台湾のドラマトゥルクが集まり、2022年に創作を開始、その後日本と韓国で上演を成功させ、2025年春には台湾での上演も予定しています。
今回シンポジウムが実施される福岡という都市は、国内では別名アジアの玄関口と呼ばれています。これは地理的に近隣諸国との距離が非常に近い、福岡という街の特色・個性に対する期待の表れだと感じます(実際福岡からであれば東京へ行くより韓国へ行く方が近いわけです)。しかしながら、現実問題として未だ東京一極集中から脱却できない日本において、私たちは福岡の地理的な特殊性、ポテンシャルを、今、最大限活かせているのでしょうか。私は本当に長い間、その疑問を抱え続けてきました。 このEATIという枠組みは、東アジア全体を一つの共同体として考え、各国国内の現代演劇という狭い枠組みにとらわれない新たな文脈、空間をこの東アジアに形成していくことを目指しているのだと私は理解しています。このことは、これからの未来を考える上で大きなヒントになるでしょう。
今回のシンポジウムでの問題提起をあえて明確に示すならば、近年演劇作品を取り巻く言論空間が、SNSを中心としたインスタントな好き嫌いの感想、つぶやき程度のお気持ち表明、または作品解説の域にとどまり、批評•評論という機能そのものが後退を強いられているのではないか、ということです。すなわち、表現者の命である作品がスルーされ、言葉が与えられず、演劇なんて好きな人が好きなことを趣味でやっているだけだろう、という社会からの冷ややかな目に晒されるだけの未来が、もうすぐそこまで迫ってきているのを肌で感じているのです。
私自身、同時代の作家•作品について語ることの難しさについては、ある程度理解しているつもりです。しかしながら、シンポジウム開催の前提として、私たち東アジアの演劇人は、演劇について語る言葉を確かな手応えとして持つことができるのか?ということが大きなテーマだとするならば、ここで一人の同時代を生きる作家の思想、ドラマツルギーに迫ってみることにも意味があるのではないでしょうか
ドラマトゥルク 石田 聖也
今回シンポジウムが実施される福岡という都市は、国内では別名アジアの玄関口と呼ばれています。これは地理的に近隣諸国との距離が非常に近い、福岡という街の特色・個性に対する期待の表れだと感じます(実際福岡からであれば東京へ行くより韓国へ行く方が近いわけです)。しかしながら、現実問題として未だ東京一極集中から脱却できない日本において、私たちは福岡の地理的な特殊性、ポテンシャルを、今、最大限活かせているのでしょうか。私は本当に長い間、その疑問を抱え続けてきました。 このEATIという枠組みは、東アジア全体を一つの共同体として考え、各国国内の現代演劇という狭い枠組みにとらわれない新たな文脈、空間をこの東アジアに形成していくことを目指しているのだと私は理解しています。このことは、これからの未来を考える上で大きなヒントになるでしょう。
今回のシンポジウムでの問題提起をあえて明確に示すならば、近年演劇作品を取り巻く言論空間が、SNSを中心としたインスタントな好き嫌いの感想、つぶやき程度のお気持ち表明、または作品解説の域にとどまり、批評•評論という機能そのものが後退を強いられているのではないか、ということです。すなわち、表現者の命である作品がスルーされ、言葉が与えられず、演劇なんて好きな人が好きなことを趣味でやっているだけだろう、という社会からの冷ややかな目に晒されるだけの未来が、もうすぐそこまで迫ってきているのを肌で感じているのです。
私自身、同時代の作家•作品について語ることの難しさについては、ある程度理解しているつもりです。しかしながら、シンポジウム開催の前提として、私たち東アジアの演劇人は、演劇について語る言葉を確かな手応えとして持つことができるのか?ということが大きなテーマだとするならば、ここで一人の同時代を生きる作家の思想、ドラマツルギーに迫ってみることにも意味があるのではないでしょうか
ドラマトゥルク 石田 聖也
登壇者
鍾喬
1956年生まれ、苗栗市三義出身の客家人で、台中第一高等学校で17歳から詩を書き始め、1980年代初頭に姚毅偉の指導の下、演劇大学院で学び、草の根文芸時代の1986年、陳英貞の指導の下、雑誌『人民世界雑誌』で働く。 陳英誠の教えを受け、演劇労働と庶民の生活を結びつける。
1989年、アジアの第三世界から大衆演劇の文化活動を開始し、1996年には<差事劇團>を結成した。この劇団には2つの翼があり、1つは年に1度のプロの公演、もう1つは地域や社会での大衆演劇ワークショップである。 この2つの翼は互いに弁証法的であり、表現の方向性は違っても、根本的な精神は同じである。
詩も演劇も、ドイツの詩人であり劇作家であるベルトルト・ブレヒトの影響を深く受けている。
康源宰
カン・ウォンジェ
演劇プロダクションPLAYNAVI代表。EATI共同運営委員。
大学で演劇文学を専攻し、現在は演劇プロデューサー、俳優として活動。2016年、EATIの前身である東アジア演劇キャンプを立ち上げ、現在はEATIの共同運営を担当。
<主な活動>
◦2011年~現在。創作一幕劇フェスティバル˹監督˼企画
◦2015.-2019. 韓日演劇交流 ˹HANARO プロジェクト ˼ 企画。
◦2016.-2018. 東アジア演劇キャンプ企画
2018年~現在 東アジア国際演劇交流˼共同運営
全国演劇祭大賞˼(2013年)
釜山演劇祭最優秀男優賞受賞。(2018, 2021)
釜山演劇祭「美しい演劇人賞」受賞。(2019)
須川 渡
福岡女学院大学准教授。専門は演劇学。東北地方の農村を中心とした戦後日本の地域演劇について調査を行なっている。近年は地域演劇だけでなく、パフォーマンスの分析やオンライン演劇の実践など、多岐にわたる研究を行う。著書に『戦後日本のコミュニティ・シアター 特別でない「私たち」の演劇』(春風社)、共著に『漂流の演劇 維新派のパースペクティブ』(大阪大学出版会)など。
道行 千枝
福岡市生まれ。専門はイギリス文学、主に初期近代演劇。福岡女学院大学教授。
イギリス現代劇の翻訳上演や、イギリスにて劇場の視察、アウトリーチ活動についての調査を行うなど、現代演劇事情にも関心が高い。著書に『おしゃべりシネマカフェ~映画をアカデミックに読む』、論文に「『オセロー』における「白」と「黒」」(『テーマシンキング叢書 色』)などがある。
石田聖也
2013年、福岡大学在学中に大学の仲間と演劇ユニットそめごころを旗揚げ。以降、ほとんどの作品で演出を務める。既成戯曲の立ち上げの他、自身の戯曲の上演も積極的に行う。学生運動を題材とした一人芝居「ノクターン」で第3回せんだい短編戯曲賞最終候補作品に選出、浅間山荘事件を題材とした戯曲「反復する、イクツカノ時間と、交わる、イクツモノ時間の中で、僕らにできる、イクツカノこと。」で九州戯曲賞最終候補作品へ選出、愛媛/東京/福岡の3都市ツアーを行うなど精力的に活動する。その他、展示と演劇を掛け合わせた「魂の女優ごっこ展」、公園で観客と移動しながら上演される野外劇、美術館でヘッドフォンを着用して回遊する体験型パフォーマンスツアーの演出に加わるなどその活動は多岐にわたる。2022年からは、演劇ユニットからartist collectiveとしてグループの活動を再開。福岡市早良区飯場を拠点として、山の中の一軒家を、劇場や稽古場、アートギャラリー、コミュニティスペースとして運営している。